安全品質に対する雑感
みなさんこんにちは。
今年最後の記事となりますが、今回は 安全について 日頃感じていることを書き綴ってみます。
2025年末には 会員制高級プライベートサウナ店で火災が発生し、若い夫婦が亡くなるという 痛ましい事故がありました。
この記事を書いている時点では まだ事故原因の解明が進められている途中ですが、現在までに下記のニュースが取り沙汰されています。
①某有名人が監修していた店舗らしい
②サウナ室のドアノブが外れて落下しており、ドアが開かなかったようだ
③サウナ室に設置された非常ベルが作動しなかった
【① 某有名人が監修】
当該店舗HPには「某有名人が監修」と謳われていたそうですが、後日「その人物は、運営管理には一切関与していない」と公式発表されました。
つまり「監修」とは名ばかりで、その実態は「広告アンバサダー」的な役割だったようです。
しかし「広告のためにタレント起用」しているだけなのを「監修」と表現するのは、あたかも消費者に対して「プロデュースに携わっている」「品質向上の役割を担っている」と優良誤認させる「ウソ・大袈裟・紛らわしい」表現に近いと感じます。
【② ドアノブが外れていた】
私も一般的なサウナは何度か利用したことがありますが、どこの設備も 室内から押せば開くという単純な機構でした。
事件のあった施設では、通常の建物と同じ仕組みのラッチ式ドアが採用されていたようですが、ドアノブが外れて落下していたことにより、ラッチを動作させることができずにドアが開かなかったとのことです。
いくつか疑問に思うのは
・ラッチに使われる金属部品は、熱せられるサウナには不向き
・高温多湿な環境で、各部材が膨張・収縮することは 容易に想像できる
・ドアノブ交換された形跡があると報道されたが、店側が危険性を認識していたのでは?
他にも おかしな点は多々あれど、管理者や施工者が 想定される危険性を正しく認識していれば、事故には至らなかったかもしれません。
【③ 非常ベルが作動しなかった】
サウナ室に設置された非常ベルは「開店以来 一度も受信盤の電源を入れたことがなかった」ことがわかっています。
言うまでもなく、非常時の緊急通報を行うことを目的とする機器の電源が入っていなければ 話になりません。
現在までに報道されているだけでも これだけの問題点が見受けられ、重大事故が起きた時というのは「いろんな要因が幾重にも積み重なって、重大事故に至っている」ケースが多いと感じます。
安全管理については、有名な「ハインリッヒの法則」というものがあります。
これは、1件の重大事故に至るまでには 29件の軽微な事故・災害があり、その前段階には300件の「ヒヤリ」「ハッ」とする場面が隠れている、という理論です。
数百もの「ヒヤリ・ハット」が存在すると言われると 数字が多すぎる気もしますが、「大事故に至る前に ”小さな危険の芽” を取り除くことが重要」なのは、確かにその通りだと思います。
実際 大事故に至るまでには 小さなミスが散見されるもので、今回のサウナ火災についても、「ドア構造が違っていれば」「ドアノブが故障しなければ」「非常ベルが作動していれば」最悪の事態は防げたかもしれない。
「安全を疎かにする人」は、往々にして 重大事故に至るまで 軽微な失敗をスルーし続ける傾向が顕著で「上手くいくのが当たり前」というスタンスです。
一方、安全意識の高い人は「Aが使用不能な場合には、Bで対処する」「Cが故障したら、Dという安全装置が働く」という具合に、機器故障や操作ミスが起きることを前提に物事を考えます。(一般的にフェイル・セーフと呼ばれる考え方です)
また、冒頭で 「高級サウナ店」と書きましたが、「高級」という言葉には いくつかの要素が含まれています。
・高価(一部の人しか手に入らない優越感)
・豪華(立派な装飾や華やかな見た目)
・羨望の的(人に自慢できる)
これらの要素には 人を惹きつける魅力があり、高級な物を所有することや 特別な体験は 満足感をもたらします。
ただし 上記の高級要素は、パッと見で 誰にでもわかる「外見の良さ」とも言えそうです。
多くの人は、高級という言葉の中に 暗黙の了解として「品質の高さや、安心・安全」といった、見た目よりも重要な もっと本質的な「中身」を期待しているはずです。
もちろん、外見の良さを否定する気はありませんし、美しさ・カッコ良さは それ自体が素晴らしいことです。
しかし、エネルギーのほとんどを 見た目 ”だけ” に費やし、肝心の安全品質を疎かにすれば 中身が空っぽのハリボテに過ぎません。
そして、安全や品質などの本質的な部分は、外から眺めて 全てを判断するのは不可能です。
だからこそ、消費者はビジュアルやキャッチコピーで判断するのですが、実態が伴わない「名ばかり」「看板倒れ」ばかりで、その中から 本当に価値のあるものを見つけるのは 意外と難しいものです。
何も書いていないサウナ施設より、”あの有名人が監修” と広告された方が より良く感じ、数百円〜数千円で入れるサウナより、数十万もの月額費用を支払って利用するサウナの方が、より安全が担保されていると考えてしまうのは自然なことでしょう。
そして、一般の人に品質の良し悪しがわかりにくいのは カーセキュリティ業界も同様で、必ずしも「高級・高価格・有名・人気 = 高品質」とは言えないのが実情です。
当店は、店主がマイナー志向で、目立つことをあまり好まない性質ですが、お客様からは「実力派」「知る人ぞ知る」「通好みな店」というポジティブな評価をいただくことも多々あります。(自分で書くのは恥ずかしいですが)
一方で、当店を初めて知ったという方からは「他店施工したセキュリティが不具合だらけで…」「調子のいいPRばかりのお店に騙された」「もっと早くガレージフローさんを知っていれば…」というお声を頂戴することも 以前から多くありました。
その度に「ショップ選びは消費者責任であるものの、当店の広告不足のせいで お客様が質の高いショップを見つけられないのは問題だ」と思い始め、「口先ばかりのお店が 大声で自社をアピールする中で、品質を重視するお店がPRをしなければ、消費者は ますます良いお店を見つけられなくなってしまう」「誇大広告をする気は無いけれど、広告嫌いの姿勢は改める必要がある」と反省し始めたところです。
もっとも、情報公開すること自体が危険を孕む防犯装置ですから、ブログなどで紹介できるのは 全体のほんの一部であることに変わりはなく、広告手段は 今後の検討項目ですが。
なお、当店のブログをお読みいただく方は、新規のお客様よりも、既に当店で施工していただいた 既存のお客様が圧倒的に多いようです。
そこで、もしご協力いただける方がいらっしゃいましたら、GoogleMapの口コミにご投稿いただけると嬉しいです。
どの業種も 店側が発信する情報は「少なからず 盛っている」ことが多く、お客様の生の声は 施工店探しに困っている 消費者の方にとって信用度の高い 貴重な情報源となります。
投稿はこちらから → https://g.page/r/CZJ_5lHH_vJ4EBM/review
一年の締めくくりがお願いになってしまい 大変恐縮ですが、事故・災害のない 穏やかな年末年始をお過ごしくださいますよう 心より祈念いたします。
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