盗難未遂を受けた車両
こんにちは、いかがお過ごしでしょうか?
今回は「車が盗まれかけた」という方のお話しです。
当店の近所にお住まいのAさん(仮名)から「車が盗難未遂に遭った」という相談を受けて お車を拝見しました。
車種は トヨタの人気SUV車で、盗難被害率も高く 当店でも頻繁に入庫する車両です。
しかし、Aさんは カーセキュリティを装着しておらず、いつも通り 自宅駐車場に車を停めていて、次に車に乗った時、左ライトが点灯しないことを不審に思い ディーラーに入庫したところ「盗難未遂に遭ったことに気づいた」とのことでした。
(Aさんの了承をいただいて撮影しています)
左前タイヤ付近を見てみると、インナーフェンダー(未塗装樹脂の泥除け)がカットされており、その部分をめくると、ちょうど左ヘッドライト下部に手が入る大きさに切り取られていました。
Aさんが ディーラーから聞いた説明では「中にある配線束のうち、2本の配線がカットされていた」とのことで、昨今主流のCANインベーダーを企てたと見て間違いなさそうです。
おそらく、犯行途中に 偶然誰かが通りかかった などの理由で 途中で逃げたのでしょう。
あと5分も放っておけば 確実に盗まれている状況で、犯行が未遂に終わったのは奇跡的です。
来店したAさんから「どうしたらいいですか?」と聞かれましたが、このまま同じ場所に駐車すれば 同じ犯人がやってきて、「事前段取りを終えた 続きの作業をして盗まれる」のは目に見えています。
まずは、カットされたインナーフェンダーをディーラーさんで新品交換し、原状回復すると共に 防犯対策が完了するまでは 駐車場の場所を変えることをアドバイスしました。
なぜ、ディーラーさんが この状態のインナーフェンダーを放っておいたのかも謎ですが、Aさんの話では「ディーラーさんは、あまりピンときていない様子」とのことで、自動車販売店と盗難防止装置専門店の大きな温度差を感じさせられました。
すでに多くの方がご存知の通り CANインベーダーという手法は、左前タイヤ付近にある CAN通信線(車のネットワーク通信線)に 専用の機器を繋いで 車両コンピュータに不正侵入(ハッキング)します。
CANに侵入するから「CANインベーダー(侵入・侵入者)」と言われます。
そして、少し前までは 左タイヤ付近にアクセスするために インナーフェンダーやバンパーの一部の嵌合を外す方法が主流でしたが、今回は 刃物でカットされているのが特徴です。
いわば「カッティングCANインベーダー」とでも言いましょうか。
確かに、バンパーやインナーフェンダーを力ずくで外すより カットした方が簡単です。
そして、時期を同じくして Yahoo!ニュースでは もっと手荒な手口が紹介されました。
こちらは、インナーフェンダーという樹脂ではなく「金属性のドア」に穴が開けられています。
なぜ、車両ボディに穴を開けられるか?というと、「CANガード」といった類の ヘッドライト下にある CAN配線を含むコネクタ(カプラー) をカバーするステンレスプレートを装着する人が増えているからでしょう。
ところが、CANインベーダーの接続ポイントは「左タイヤ部分にアクセスするのが一般的」というだけで、CAN通信線は 左タイヤ部分以外にも配線が通っていますから、犯人にとっては CAN通信線に繋げられれば 接続場所はどこでもいいのが実状です。
簡易的な方法では局所的な対策しか実現できず、別の場所から簡単にアクセスされる。
そして、また別の場所を簡易的に塞いでも、また別の手段で突破される。
これでは いつまで経っても トラブルとは縁が切れず、延々と防犯対策の無限ループを強いられる。
そういうのを「イタチごっこ」と言います。
そのため 当店ではイタチごっこになりやすい「安易・簡易な防犯グッズ」は取り扱っていません。
「当店で購入したのに効果がなかった」と思われるより、「当店で購入してよかった」と思っていただけるものを施工・販売する方が お客様にとっても 当店にとってもよほど有意義だと考えています。
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