カーセキュリティの選び方

「カーセキュリティの選び方」というタイトルですが、カーセキュリティのことをネット検索しても 製品の話ばかり。

両輪である 施工の話は、せいぜい「信頼のおける正規店で」とか「本体やサイレンなどは見えない場所に設置した方がいい」程度で 情報は少ないと思います。

各ショップのHPでも「ウチは誤報がありません」「盗難被害ゼロです」みたいなことを過大にアピールする広告ばかりで、実際のところが見えてこない。


なので 今回は「◯◯製品がいい or 悪い」という話より、施工の仕方がカーセキュリティにどう影響するのか?という切り口から、ずっと秘密にしていた 他店で施工されたカーセキュリティの問題点を、支障のない範囲で触れていきます。



*******【ご注意】*******

・この記事で掲載している写真は、すべて当店の施工ではありません。

・ここで挙げた問題点は 全て有償にて対策が完了しております

・長いので、できるだけPCでご覧ください。

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下の写真は「買った車についていた 既存セキュリティの調子が悪い」とのことで、入庫したお車。

まず、パネルを開けると出てくるグチャグチャの配線類。

(赤色のユニットは、セキュリティとは無関係の別装置です)




簡単に見つかる カーセキュリティ本体。(フロアに置かれた銀色の物体)

本当は ここまでバラす必要すら無かったのですが、それを見せてしまうと 元々の本体設置場所が推測されるので伏せておきます。






こういう施工「見た目が悪い」というだけじゃなく、本当に問題なのは・・・

これは、カーセキュリティにおいて「とても重要な配線」です。

(※配線色・カプラー形状がわからないよう、黒テープを巻いています)





この車種を盗む際 最もメジャーな手口は、例えて言うなら 10段階中の深度5程度の箇所で配線をいじる手法です。



上の配線は 深度4あたりで結線して、別の深度2程度の場所にある本体に繋がっていました。



すると 簡単に本体が見つかり、2〜3本の結束バンドを切っただけで  ”重要な配線” が露わになってしまう。



つまり、通常は 深度5まで潜って盗むための作業をするはずが「ノーマル車よりも浅い箇所をいじるだけでセキュリティを無効化されてしまう」「ノーマル車に毛が生えた程度の防犯効果しかない」ということです。


防犯装置は、窃盗犯よりも奥深くに仕掛けなければ、効果が期待できません。

なのに 上の写真は、ドア付近まで「重要な配線」が延びてしまっています。




こういう施工がされている場合、おかしな点はいくつもあるもので・・・

この車のボンネットグリル形状、簡単に手が入ります。






ボンネットを閉じた状態でも、下から覗くと ロック部分が丸見え。


それでも ボンネット開閉センサーが施工されていないのは「ショップ側がめんどくさがった」or「元オーナー様がオプション費用を出し惜しんだ」のどちらかでしょう。



この時点で この車の攻略方法がわかってしまうかもしれませんが、別箇所でも問題が多々あり ざっと見ただけで 4通りくらいのセキュリティ突破方法 がありました。

(もう「好きな方法で セキュリティ突破して」という状態です)





この車は、よほど悪質なショップに依頼したのでしょうか?




この車に設置されていたカーセキュリティ本体。

加藤電気さんのラベルがあるということは、VIPER正規店 で施工されたお車です。





他のお客様のお車でも・・・

パネルを開けると 目の前でメイン配線とご対面。



青色のマジックバンド(ご家庭のコンセント配線などをまとめるやつ)が目立っていたので、素人でも簡単に配線を見つけられます。



こちらは よくネット上で「最強のカーセキュリティ!!」とか言われる製品、もちろん正規店の施工。

こちらのお車は先述の例よりも まだいい方とはいえ 他に複数の問題箇所がありました。
詳細については 防犯上伏せておきます。





こういう事例は「正規店施工の中でも 特別な"レアケース"」なのか?





残念ながら、過去 私が見てきた中では こういった施工がされているケースの方が圧倒的に多く、むしろ これが一般的です。




個人的には、カーセキュリティに真摯に取り組んでいるショップさんは 全体のうち10%程度という印象です。(あくまで個人の感想です)




では、これからカーセキュリティを導入するには、どうしたらいいのか?

上記写真のような施工で良いなら、近所のお店・知り合いのお店・安いお店に頼めばいいのですが、「それじゃイヤだ」という方はどうするのか。



最近はインターネットで情報を得る方が多く、「〇〇の機能が」とか「こういう手法が」ということをおっしゃるお客様もたまに見かけますが、全ての情報は「あくまでも一般的に入手できる情報のみ」、しかも 必ず「原則として」や「このケースの場合」という注意書きを内包しているものです。


理解が深ければ、一連の注意書きも含めて「根底にある意図」を察することができますが、それが意外と難しいようで 言葉尻だけを捉えがち という状態はプロフェッショナルでもよく見受けられます。



「本体を銀色のテープで隠す」とか「黒テープで配線をブラックアウトする」という”枝葉の手法論” は 手っ取り早く 誰にでも理解しやすいのですが、”手段が目的にすり替わってしまう” と カーセキュリティは盗難防止装置としての役割を果たしてくれません。



カーセキュリティは いたずらや盗難を防ぐという 目的を果たす要件を満たしていれば 長年に亘って恩恵を受け続けられますが、「音が鳴るだけのアクセサリー」としては高額です。

また 後者の場合、複数の問題を抱えていることが多く「お金を払ってトラブルやリスクを買う」のではメリットが見出せません。



表面上のことや キャッチーな売り文句に惑わされず「本質や真髄に目を向けて」判断すると、「最終的にお得な結果」にたどり着くことが多いです。


ぜひ 複数のお店を比較検討して「その奥にあるエッセンス」を嗅ぎ分けてみてくださいね。(※貴重な時間を無駄にしない程度に)





※ カーセキュリティのような職人仕事は「技術やノウハウ」を買っていただいています。

「〇〇を教えて」といった、「他のお客様が大切なお金を支払ってご購入いただいた商品をタダで手に入れる」ことが目的の方は、当店のご利用をお控えください。

ご自分が大切なお金を払って手に入れたモノが、他の人には もっと安く提供されたら・・・誰だって いい気はしませんよね。